街角のコミュニケーション

世の中コミュニケーションだらけ。

「聞き上手」と「会話泥棒」のコミュニケーション

「聞き上手」とはどういう人を言うのだろうか。たとえば

相手の話しに口を挟まないで同調し、頷きながら聞ける人。

相手の話しを尊重し、その内容を肯定しながら聞ける人。

何かをしながらではなく、話しを聞く事だけに集中できる人。

聞き上手を定義することは難しいが、特徴としては共通しているのだと思う。

ただ、聞き上手が自分のことは話さないとか、自分の意見を持たない、というのは大きな誤解だ。

彼らは、相手の話しをただ聞いているだけではない。

相手の感情を察し、その場の空気を読み、話しの内容を整理しながら

自分の意見を述べる絶妙なタイミングを計っているのだ。

一方「会話泥棒」は聞き上手の真逆な人と言ってもいい。特徴としては

相手の話しが終わる前に自分の話しをカットインしてくる人。

話題がコロコロと変わって、元の話題に戻れない人。

主語が「オレ」または「オレのトモダチ」で、自慢話が多い人。

基本自己中心的であり、とてもコミュニケーションがとりづらい。

聞き上手と会話泥棒。この水と油のような2つのタイプが対峙した時

一体どんな反応が起こるのだろうか。

以下は、私が実際にその場に居合わせた時の不幸な出来事である。

聞き上手はフリーランスのライターのA女史。

会話泥棒は職場の後輩のB子。ライター志望である

A女史は、私たちの業界では“大御所”と呼ばれるほどの人物だが

物腰は低く決して偉ぶったりすることのない上品な女性だ。

B子の方は、キャリアもないくせに自分をできる女と勘違いしている女である。

仕事も生き方も、格が違いすぎる。

たまたま縁があって一緒に仕事をすることになった私たちは

打ち合わせを兼ねて会食することになった。

最初はごく普通に会話のキャッチボールができていた。

しばらくすると、場の空気に慣れ始めたB子が調子に乗りはじめた。

よっぽど業界人として認めてもらいたかったのか、自分アピールを始めたのだ。

この自分アピールが実にくだらないのは、そのほとんどが

「わたし、◯◯さんと知り合いで、よく飲みに行くんです」とか

「わたし、△△社の◯◯さんと大学のゼミが一緒だったんです」とか

自分、顔が広いですアピールである。

それでも聞き上手のA女史は、我慢強く聞いてくれる。

さらに調子に乗ってしゃべりまくるB子。

前述したが、聞き上手は決して何も話さない人ではない。

話すタイミングを計っている人なのだ。

A女史は頃合いを見計らって、このくだらない自分アピールに対しての

“返し”を何度も試みようする。きっと、付き合い方のアドバイスでも

してくれようとしたのだろう。けれど会話泥棒のB子はことごとく

A女史の会話を、食い気味に奪っていく。

放置していた私も悪かったのだが、止めようがなかった。

やがて、B子の独壇場と化した苦痛な会食は終わった。

帰り際、A女史がB子に言い放った。

いつも通りの穏やかで品の良い口調で言い放った。

「B子さん、あなたライターに向いてないわ。

ライターって、人の話しを吸収する人なの、人の話しを奪う人には無理よ」

はい、ごもっともです。

聞き上手に甘えすぎてはいけない。


人気ブログランキング


生き方ランキング