街角のコミュニケーション

世の中コミュニケーションだらけ。

娘を連れて晩秋の山を登る

晩秋の休日、可愛い娘(愛犬)を連れて日帰り登山をした。正確に言うと、登山なんて大層なものではなく、ハイキングに近い。それでも全行程約10km、なかなかの急登もあり、3つの低山を縦走するコースは、運動不足の中年にとって歩きごたえ十分である。うちの娘は山が好きで、若い頃ならこの程度の山は平気で散歩したものだが、11歳(人間の年齢だと70歳超)ともなれば、そうはいかない。平坦な登山道だけ歩かせて、アップダウンのあるところは私のザックに入れている。私がほとんど背負って歩くことになる。7キロの娘を背負って山を歩くのは一苦労だが、ザックからちょこんと顔を出しているその姿はとても愛らしく、他の登山客に「かわいい」「おりこうさんね」なんて褒められたりすると親ばかよろしく、うれしくなってしまう。「写真を撮らせてください」なんてこともある。私としてはまんざらでもない。登山客のなかにはザックの中の娘の存在に気づいて、ギョッとする方もいる。「驚かせてしまってすみません」と私。すると「あービックリした、ぬいぐるみかと思ったわ」上品なマダムが物腰柔らかく言う。私は俄にマダムの言葉に違和感を覚えた。ぬいぐるみ・・・。いい歳のおっさんが、そこそこ大きな犬のぬいぐるみ持って山を登っている。自分のザックから、“ちょこん”とぬいぐるみの顔をのぞかせながら山を登っている・・・。そんなファンシーなおっさん、いますか?想像したら可笑しくなってしまった。「なわけねーだろ!」私はツッコミたい気持をグッとこらえ、マダムに愛想笑いを返していた。世の中にはいろいろな人がいるものだ。