街角のコミュニケーション

世の中コミュニケーションだらけ。

春闘と後輩

春闘の季節です。我が社も例年どおり突入し、例年どおり妥結した模様。社員である以上、私も一応組合員ということになるのだが、組合の会社への要求や、妥結した内容にとくに興味も関心もなく、何かが改善されたという実感もなく、「もう、そんな季節なんだなぁ」と俳句の季語くらいの思い入れしかない。ただ、労使の交渉期間中、この会社もいっちょまえにスト(時間外労働拒否=残業拒否)なんかやるもんだから、仕事が立て込んでいたりするとジャマでしかない。ストは2、3日続くのだが、18時の終業のチャイムを合図に、管理職の連中が「早く帰れ」と組合員を追い立てる。そんな、今年のストのさ中にこんなコミュニケーションがあった。それはスト初日のこと、終業のチャイムが鳴って、私は帰り支度をはじめていた。すると、私より一回り以上も歳下の後輩くんが話しかけてきた。「ホント、参っちゃいますよね、このスト」と、残業ができない後輩くんは明らかに不服そうである。「あぁ、ホント、仕事すすまないな」と、私。すると後輩くんが畳み掛けてきた。「何で、こんなクソな要求のために、おれたちを巻き込むんすかね」。ズケズケとものを言うタイプだ。おまけに声もでかい。「どういう内容?」組合の要求なんてまったく知らない私は、後輩くんにたずねてみた。すると「知らないんすか?もう、ダサいんすよ、シニアスタッフ(再雇用者)の成果手当○%アップですって、俺たちにカンケーなくないすか?」。私がこの会話を紡ぐことはなかった。なぜなら、その会話のすぐそばに当のシニアスタッフがいたからである。私はそのシニアスタッフのばつの悪そうな顔を見逃さなかった。あー、後輩よ・・・。私がその場で後輩くんを正すことはない。余計な軋轢を生みたくないから。ただただ、呆れていた。「シニアスタッフのことなんて、自分にはカンケーない」という思考に対してではない。はっきり言って、私にだってカンケーないし。私が呆れたのは、どうしてそれを、この場で言わなければいけないのか、ということである。状況判断ができていないことに対してである。後輩くんがこのシニアスタッフを極端に嫌っていて、聞こえよがしに皮肉として言ったのなら、まあ、分かる。けど、そうでもなさそうだ。早い話しが、ただの無神経なのだ。クソつまらない話題を私にふってきたことは、百歩譲ろう。ただ、そういう状況判断のミスは、不幸なトラブルの原因になるだけだ。私も巻き込まれるかもしれない。

それだけはご免だ。私はその数時間後に後輩くんにメールをした「あのタイミングで、あの発言はよろしくない」と。するとすぐに返信があり「アドバイスありがとうございます。すぐに自分勝手な考え方を改めます」とあった。だから違うって、違うのだよ、後輩くん。因に、後から知ったことだが、「シニアスタッフの成果手当のアップ」は、組合が会社に要求していた何項目かのひとつに過ぎない。要求にはちゃんと一般社員の報酬についても盛り込まれていた。そりゃあ、そうだよな、後輩くん。